第62回地方委員会・新型コロナウイルス感染症に関する報告会

「賃金制度の整備がカギ、賃上げの流れは制度が反映か」

 連合高知は7月14日(火)、三翠園で第62回地方委員会を開催し(地方委員31名内女性7名、執行部21名)、“連合高知2020春季生活闘争の中間総括”を確認した。
 総括では、5月29日現在の賃上げが県全体単純平均3,722円(昨年比−791円)、同加重平均3,856円(同+116円)、地場組合では単純平均3,258円(同−890円)、同加重平均3,108円(同−127円)と、全体的に厳しい結果になっていることを報告。そのうえで、30〜299人規模の組合は300人以上の組合における上げ幅(額)を上回っていることから「県内における規模間格差是正の流れを止めることなく、ある程度維持していると受け止めるとともに、今期のような厳しい交渉環境にあっても、300人以上の組合が他規模と比較して前年比減が少ないのは、賃金制度の整備状況が少なからずあると考えられる」と評価した。
 今後の課題については、?規模間・地域間格差の是正、?賃金制度の整備、?企業内最低賃金改善の地方最低賃金への波及、?労働者の立場にたった働き方の見直し促進、?雇用・生活・経済を三本柱とする政策・制度の取り組みを挙げ、これを全体で確認した。

“今後、厳しい中で奮闘を”
 こうした春闘総括を踏まえて折田会長は、地方委員会冒頭のあいさつで「コロナ禍にあって連合高知は、雇用と生活を守る取り組みなど緊急的な政策分野での取り組みを進めていく」としたうえで、「来年以降の春闘は非常に不透明かつより厳しい闘いを余儀なくされることは必至」と認識を示しながら、最低賃金の引き上げを含めたこれからの闘いに向け、檄を飛ばした。

“パワハラをなくそう”
 また、地方委員会では、裁判闘争になっている“高知さくら会計事件”の原告団(4人)を代表して高橋組合員(地域ユニオン)から「パワハラで泣いている人が数多くいる中、私たちは社会からパワハラをなくしていきたいとの思いで提訴に踏み切った。パワハラ防止法を実効あるものにするためにも裁判を闘っていきたい」との決意が表明された。これに関して折田会長は「いろいろ悩み逡巡もあった中で、理不尽を糺していこうと決意し、闘いに立ち上がった4人の組合員の思いを受け止め、共に闘っていくことが労働運動の社会的役割だ」と組合員に支援を求めた。

“劣化する政治、政権打破を”
 来賓には武内則男 衆議院議員(四国比例)、広田一 衆議院議員(高知2区)、久保耕次郎 社会民主党高知県連合代表、野村公紀 国民民主党高知県総支部連合会青年局が駆けつけ、コロナ禍における安倍政権のずさんな対応などを指摘しながら、来る総選挙に臨む決意がそれぞれから述べられた。
 連合高知では、1区武内則男 氏、2区広田一 氏の推薦を7月21日の第8回執行委員会で決めることにしており、これを踏まえて折田会長は「政府のコロナ対応をみても判るように、政治は年を経るごとに劣化している。そんな中、総選挙がいつ行われるのか分からないが、次の総選挙では両者を先頭に安倍一強を打破し、持続可能で包摂的な社会を創り出すために組織の総力を挙げた闘いを展開していこう」と訴えた。
 地方委員会の最後には、「連合高知は、“働くことを軸とする安心社会”の実現をめざし、働く者の雇用と生活の立て直しを課題のど真ん中に据え、希望と安心を取り戻すために組織の総力を挙げて行動していく」とするアピールを採択して地方委員会の全日程を終了した。

“コロナ禍で構成組織奮闘”
 引き続いておこなわれた「新型コロナウイルス感染症に関する報告会」では、自治労・高知県職員連合労働組合、UAゼンセン高知県支部、私鉄総連 とさでん交通労働組合からコロナ禍における各組織の実態や取り組みが報告された。県職連合からは、「県の対策では、PCR検査体制強化や医療従事者対策、経済対策が打ち出されている。だが、県庁内の人員不足で通常の業務も含め窮している。これをどうしていくのかが組合の課題になっている」と報告。またUAゼンセンからは「スーパーなど流通小売業では、社員が感染リスクに気を使いながら業務している。そんな中、カスタマーハラスメントも発生しているのが実態だ」と身を賭して懸命に仕事を続ける労働者の状況を報告するとともに、「グループ内の出向による雇用維持」など組織をあげた取り組みが報告された。県民の移動手段を担うとさでん交通労組からは「人口減少の中で構造的に収支が赤字の状態に加え、このコロナ禍で収益が激減した。これにより事業の存続も危ぶまれているが、県民の生活を守るため、そして、組合員の雇用を守るために組合は頑張っていきたい」とコロナ禍における組合の役割発揮を表明した。