連合高知2014年男女平等参画フォーラム

イクボスが社会を変える〜残業前提の働き方はダメ〜 連合高知は6月21日(土)、14時から高知サンライズホテルで「2014年男女平等参画推進フォーラム」を開催した。このフォーラムには講師にNPO法人ファザーリング・ジャパン副代表の安藤哲也さんを招き、「あなたの職場にイクボスはいるか!」と題する講演をいただいた。約80名の参加者は「仕事仲間のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司」と定義する“イクボス”という耳新しい言葉に接しながら、ワークライフバランスや男女平等参画の重要性に聞き入った。
 開会にあたって挨拶した岡田男女平等推進委員会委員長は「日本の職場や社会の意識はまだ男性の育児・子育てには向いていない。そうした中で、いかに子育てに関わる制度を活用し、意識を広めていくのかが私たちの腕の見せ所だ。制度の改善も進んではいるが、求めている側の生の声を聞きながら、実態に合った制度に改革することが必要だ。このフォーラムを機会に、男女平等参画の推進を願う」と述べた。
 続く講演では、安藤さんの家庭生活における苦い経験を披歴しながら“イクボス”のいる社会の大切さが提起された。安藤さんは、「今、時間も場所も制約された働き方をする“制約社員”が増えている。こうした中で、イクボスを増やすことが、いっそうの男女平等参画社会の推進とともに、ワークライフバランスを達成することにつながる。超少子化社会が到来するといわれるいま、多様化する人材とその人の働き方をどうマネージメントするのかということがこのイクボスには問われている。そして、ワークライフバランスの達成は少子化社会を止めることができる」と述べた。
また、「そもそも、家庭(家事)における男女の役割分業意識は学校で教えられてきた。中学・高校で家庭科学習を始めたのはほんの10年前だ。その頃の生徒がいま社会に出てきている。その世代の人たちは家事の平等参画が当たり前になっているが、それ以前の世代は役割分業の考え方に凝り固まっている。だからこそ、職場・地域・社会を変えていかなければ男女平等参画もワークライフバランスも無理だ」と日本の現状を分析した。
 一方、ヨーロッパでは「男女が共に子育てすることを国・社会・職場が容認している。だから、ヨーロッパの男性は妻の出産後1ヵ月間、育児休暇を取ることが義務付けられている。こうしたことを日本の社会も見習うべきだ」と世界レベルの先進的な取り組みを紹介しながら日本社会のあり方を提起した。
 こうした課題を示した上に「人間の能力は8時間の労働を過ぎると低下する。だから、長時間労働は生産性を落とすとともに、過労死を引き起こすことになる。よって、残業を前提にした働き方は改めるべきだ。そうしないと、ワークライフバランスも男女平等参画社会も実現できない。職場で共に働くスタッフが抱える子育てや介護などの問題をちゃんと見守りながらキャリアを応援していくと、会社の生産性は必ず上がる。また、ワークライフバランスと男女平等参画、イクボスはコストパフォーマンスが良いことは間違いない。そして、そのボス自身も人生を楽しむことができる」と、今進めている“イクボス”をはじめとする運動の意義を語りながら講演を締めくくった。