高知地裁は4月28日、地域ユニオン組合員4名を原告団とする「パワハラ訴訟」について、原告側が訴えた97件の行為のうち2件をパワハラと認定し、44,000円の支払いを命じました。
この判決は、「一部をパワハラ行為と認定」したものの、全体的には“使用者の優越的地位を擁護した判決であり、労使関係において労働者は弱い立場にあるという観点を著しく欠いた極めて理不尽な判決”だと連合高知および地域ユニオンは受け止めます。
その理由の第1は、“パワーハラスメントの定義を紋切り型で当てはめた結果、社会一般の常識からはかけ離れている”ということです。
第2は、原告側(組合員4名)の訴訟主旨は、“97件にも及ぶ被告(使用者)らの行為が、そこで働く労働者の就業環境を著しく害していた事実があった。よって、これらについて当然、使用者には安全配慮義務があったはずではないか。だから、使用者の安全配慮義務違反を問う”というものであったにもかかわらず、裁判所はその主旨とはかけ離れた判断をおこなった”ということです。
第3は、“97件の行為のうち、この訴訟で最大の案件であるT氏の降格処分について、一方的に使用者側の主張だけを取り入れた不当な判決である”ということです。
第4は、“第三者の証言は一切取り上げず、そのうえ、原告T氏、Y氏の陳述書は基本的に信用できない”とした一方、使用者側の主張に偏重して判断したことです。
このように、本判決は事実認定からして使用者側の主張に偏った極めて不当なものと受け止めざるを得ません。まさに、『社会における企業運営秩序を維持するために、労使の主従関係をはっきりさせる目的を持った、結論ありきの判決』の何ものでもありません。
以上のように、本判決は、原告側にとっては、一部パワハラ行為が認められてはいるものの、こちらが求めていた使用者の安全配慮義務違反やT氏に対する降格処分の判断、一連の事実認定の仕方などからして到底受け入れられる内容ではないと判断します。
また、この判決は、社会において訴訟はもとより個別労働紛争解決制度も利用できずに泣き寝入りせざるを得ない多くのパワハラ被害を受ける労働者の一助にもならない不当判決でもあります。
したがって、原告団4人を筆頭とする地域ユニオンおよび連合高知は、社会からパワハラ・嫌がらせを根絶することに繋げていくためにも、この裁判闘争を継続することとし、高松高裁へ控訴しました。